40歳からのニューアイデンティティー
− 広汎性発達障害と診断されて −

− は じ め に −


 2014年4月3日をもって、ホームページ『トコトコ日記』は、開設10周年を迎えた。
 インターネット上に自分の表現や発言の場を設けることを夢見て、30歳でスタートしたこのホームページ。気が付けば、アッという間に10年が過ぎて、管理人の私も40歳になった。月日が経つのは、何と早い(速い)ことだろうか。
 10年間、本当に多くの方々が見て下さり、また、特定の方が多くの回数、見て下さった。私のことを直接知っている人も知らない人も、それぞれの視点で見て下さった。長年のご愛好、心から感謝申し上げ、11年目以降の当サイトも、どうかよろしくお願いする次第である。


 さて、サイト開設10周年を記念して、今回、5年ぶり11作品目となるエッセイを公開した。
 タイトルは、【40歳からのニューアイデンティティー、広汎性発達障害と診断されて】。
 広汎性発達障害・・・・・。


 2013(平成25)年12月17日、私は40歳5ヶ月にして、発達障害であることが判明した。
 発達障害とは、脳機能の発達に関する障害のことで、コミュニケーションや作業能力の面で、普通から見ると「ちょっと違う」という特徴がある。また、こだわりや反復行動が多く見られ、例えば普通なら気にしない小さな間違いを気にしたり、状況への対応や環境への適応に於いても、いろいろ苦手な面がある。古い時代には、親のしつけや教育の問題と誤解されてきたが、実際は、脳の先天的な機能障害である。


 広汎性発達障害は、発達障害の中でも社会性を司る脳の領域に関係した障害の、総称である。比較的近いのは高機能自閉症で、高機能自閉症とは、知的障害のない自閉症を指している。また、最近世の中でよく聞かれるようになったアスペルガー症候群や、学習障害、注意欠陥障害も含まれている。その他、この障害の詳しいことや私自身の特徴については、本文で説明する。


 生まれてからこれまで、健常者として生きていた私であるが、40歳を境に、発達障害者という新しいアイデンティティーのもと、人生を送っていく事になった。上記の説明でも触れたとおり、発達障害自体は先天性の脳機能障害であるため、私も実際には、生まれた時からずっと発達障害があったことになる訳である。しかし私が生まれた頃、発達障害はまだ社会で全く認知されておらず、1980年代以降、“知的障害のない発達障害”として、先ずは専門筋の間で注目され、徐々に社会に認知されていく様になった。


 診断が下されてから約4ヶ月、今まさに私は、気持ちも立場も新たに、人生を再スタートした気分でいる。
 私は職場が障害者団体であるため、そこでの立場も『障害当事者の職員』に変わった。大きな環境の変化への適応が極めて困難とされるこの障害だが、本来の自分が認められ、等身大の自分自身でいられる様になるという今回の環境の変化は、同じ環境の変化でも寧ろ有難い、そして幸せなものである。


 長い人生の中でも、恐らく最も大きなターニングポイントとなるであろう、“40歳での診断体験”。ホームページ開設10周年という区切りと、奇しくも時期を共有する事になったのも何かの因縁か?「恐らくもうエッセイは書かないのでは?」と思っていたこの私が、5年ぶりに長文作成のキーをたたく結果となった。


 執筆にあたっては、極めてデリケートな内容も多く含まれるだけに、表現には細心の注意を払ったつもりである。或る意味、私の障害が障害だけに、尚更それを自覚して、思いをぶつける中にも慎重さは忘れないよう心掛けた。
 以下の目次に従い、診断を受けるまでの経緯や前後の話のみならず、遠い過去のエピソードも時代順に、それも出来るだけ障害の特性と関連してくるであろうエピソードを回想して、40年の人生全般を振り返るに近い作品に仕上がっている。過去の10作品が、いずれも人生のある一時期、一時代だけを取り上げているのとはおよそ対照的であるが、テーマが自分のアイデンティティーそのものだけに、人生のどの時点も作品に直接関係する、となったものである。


 皆さん、これからもわたくしトコトコ、こと根箭太郎をよろしくお願いすると共に、私と面識のある方の中で、この頁で初めて私の障害のことを知った方については、どうか知る前と変わらずお付き合い下さるよう、心より、深くお願い申し上げる次第である。



2014年4月3日、『トコトコ日記』管理人、トコトコ(根箭太郎)


目 次

序章 −障害者ケアマネジメント従事者研修にて−
仕切り直し!【健常者として生きる】と決めた時
自己操縦 三歩以内に ミス連鎖
ターニングポイント、『人に仕事を振る』ということ
【健常者の看板】人生、ピークの頃
制度と環境の変化が・・・・・、看板の重量化
いざ、駆け込み寺へ!専門医療機関にて診察
広汎性発達障害 《学習障害、注意欠陥多動性障害、適応障害》
主題歌は「わたしのうた」、【くじけないで】 映画は宝探し
プレイバック:小〜中学生時代
プレイバック:高校〜大学時代
プレイバック:社会人若年時代
プレイバック:就職後のエピソードから
生涯レアな体験No.1【運命の報告】
“ビフォー・アフター”、診断がもたらした変化
終章 −40歳からのニューアイデンティティー−



作品を読み始める


※印刷をして手元で読みたい方は、Word版をどうぞ(写真は割愛しております)






思い出を遺す エッセイの部屋へ